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年の差シリーズ 2
ルルーシュとスザクのその後。
スザクのお仕事はパラレルでもこれしかないと思い、すんごい設定です・・・。
スザクの言っていた就職というのが軍のナイトメアパイロット、しかもラウンズ に配属されると聞いてルルーシュはスザクの顔を穴が開くほど見つめてしまうく らい驚いた。 軍のナイトメアパイロットといえば、軍の中でもごく小数の限られた者しかなれ ない。 その審査基準は学歴、人柄、体力に適正と多岐に渡るが何より、ナイトメアを自身 の手足のように扱う高い技術が要求される。 そしてラウンズとはそんなナイトメアパイロットの中から特に優秀な者で構成さ れる、国家直属の特殊部隊である。 ラウンズの権限、軍での影響力またその待遇は彼らの能力の高さを物語っており、 ラウンズとは軍での超エリートと言える。 ついこないだまで一介の高校生だったスザクが、どんな経緯を辿ればラウンズに なれるのか。 ルルーシュが聞けばスザクからは実にあっけらかんとした返答が返ってきた。 「元々は軍の技術開発部で開発中のナイトメアのテストパイロットのバイトをし てたんだけど、そこの所長がラウンズにって推薦してくれたんだ。だから俺の実 力っていうより運とコネの力なんだ」 スザクはそんなことを言うけれど、それはスザクの謙遜だとルルーシュにはわか っていた。 運とコネなんかでなれるような、そんな甘い世界ではないと民間人のルルーシュ でも容易に想像がつく。 天性の才能と血の滲む努力に裏打ちされた確かな実力がものを言う世界。 そんな厳しい世界にいるのだ、スザクは。 ルルーシュはリビングで一人、アルバムをめくるスザクを見た。 再会を果たしてから、よっぽどのことがない限り、スザクは片道2時間もかけて ルルーシュの家にやって来る。 しかし、せっかくそうして来てくれてもルルーシュにも仕事があるから、スザク は昔のアルバムを見たり本を読んだりして一人で過ごしていることが多い。 今まで13年間も寂しい思いをしてきたスザクを一人にしてしまうことがルルー シュは心苦しくてたまらないのだが、スザクはそんなことは気にしなくていいと 言って笑った。 『ただ、ルルーシュの近くにいれればそれだけでいいんだ』 そんな恥ずかしくてうれしいことを言ってくれた。 ルルーシュだってスザクと再会してからの今の生活に不満があるわけではない。 仕事をして、スザクとご飯を食べたり一緒に散歩をしたり昼寝をして、仕事をし てスザクとおしゃべりをして、自分の家に帰るスザクを見送る。 のんびりとした当たり前の幸せがそこにはあった。 けれど、今が幸せな分余計に恐いのだ。 4月になってスザクが働き始めればこうやって毎日会うことはできないだろう。 それどころか、忙しくて電話することだってできなくなるかもしれない。 ましてスザクはラウンズといえども立派な軍人だ。 いくら日本が平和主義を唱え、戦争をしないと言ってもスザクの仕事は戦うこと。 国内のテロや重大犯罪が起きれば警察を越えて軍が駆り出されるし、災害の救援 や海外の紛争地の支援活動だって軍の仕事だ。 いつだって危険と隣合わせの場所にスザクはいる。 ルルーシュは昔を思い出す。 やんちゃだったスザクはいつも擦り傷や青アザを作ってはルルーシュが手当をし てやっていたが、一度だけ本当に大きな怪我をして病院に運ばれたことがあった。 仕事で留守にしていたスザクの両親の代わりに病院から連絡を受けたルルーシュ は、心臓が冷え切るような心持ちになった。 取るものも取らず病院へと駆け付けたルルーシュが見たのは、頭に包帯を巻いて 白いベッドに横たわるスザク。 麻酔が効いてまるで死んだように眠るスザクが、もしかしたら一生このまま目を 覚まさないのではないかと不安でしょうがなくて、一晩中スザクの手を握ってい た。 結局、次の日には目を覚まして何の異常もなく退院できたのだけれど、その時の 傷痕はずっとスザクのおでこに残っていてそれを見る度にルルーシュはあの時の 不安と恐怖を思い出す。 スザクがラウンズになったら、あの時のような恐怖をいつも抱えていなければな らないのだろうか。 テレビで事件が起こればスザクを心配して、会うことも電話で声も聞くこともで きずにただ無事を祈るだけしかできない。 そうしてやっと連絡が着たと思ったら病院からで、ルルーシュはまた恐怖に震え ながらスザクが目覚めるのをまたなければならないのだろうか。 そんなのは、堪えられない。 一度は失ってしまったと思っていたスザクが、再びいなくなってしまうなんても う堪えられない。 だって、知ってしまった。スザクがいなければ、自分の人生がいかにちっぽけで つまらないものか。 スザクがルルーシュの傍に戻ってきてくれて、ルルーシュの世界にもまた色彩が 溢れ出した。 スザクがいない。ただそれだけで俺は。 色んな感情がごちゃまぜになって込み上げてきて、ルルーシュは訳もわからずス ザクに抱き着いた。 どこにも行かせない。 ずっとそばにいると約束したのだから。 「ルルーシュ?」 いきなり力いっぱい抱き着いてきた、ルルーシュらしくない行動にスザクは目を みはる。 背中に張り付いているから、その表情を窺い知ることもできない。 「ルルーシュ、一体どうし」 「スザク!お前、働くのやめろ!」 「へっ?」 何の脈絡もなく叫ばれた言葉にスザクは困惑してしまう。 スザクの背中にぐいぐいと顔を押し付けるルルーシュの腕の力が強くなる。 「働かなくたっていい!俺とずっと一緒にいるっていう約束だろ?」 いよいよもっておかしい。 「本当にどうしたの?」 スザクはルルーシュの腕を解くと、ソファに向き合うように座り直す。 ルルーシュはばつが悪そうに目線をずらしたまま口を開く様子はない。 「黙っててもわからないよ、ルルーシュ。ね?」 頭を撫でて優しく促すと、ルルーシュは逡巡するようにちらりとスザクと視線を 合わせ、再び俯いてしまった。 スザクが大人になったのか、それともルルーシュが幼児化してしまったのかわか らないけれど、本当に13年前と立場が逆転してしまっている。 ルルーシュは気づいていないが、再会してからルルーシュはやたらスザクにくっ つきたがるし、甘えてくる。 それは13年前の自分を見ているようでスザクは苦笑してしまうのだが。 まぁ、俺としては嬉しいから全然いいんだけど。 スザクはルルーシュを抱きしめると、その形の良い耳に口づけを落とす。 「ルルーシュ」 耳元で囁けばぴくりと身じろぐ細い身体。 スザクにのしかかるようにして、身体ごとしがみついてくるルルーシュは恐い夢 を見た子供のようだった。 スザクはルルーシュの背中をあやすようにして撫でる。 これも昔、スザクがルルーシュにしてもらったことで、こうされると嫌なことも 悲しいことも全部忘れることができた。 しばらくの間、スザクは何も言わずに、ただルルーシュの不安が消えるように背 中を撫で続けが、それでもスザクを見上げる菫色の瞳は不安で揺れていた。 「どうしても、働くのか?」 おもむろに呟かれた言葉は今にも消え入りそうに震えていた。 「働くよ。だって俺も社会人だもの」 スザクとしてもルルーシュの願いは何だって叶えてやりたいが、こればかりは無 理だった。 ルルーシュは今にも泣きそうな目をしながら、それでもスザクに食い下がる。 「でも働いたら今みたいに簡単には会えなくなる」 「だからって働かない訳にはいかないよ。生きるにはお金がいるもの」 駄々をこねるルルーシュにスザクは優しく言い聞かせる。 すると、ルルーシュはスザクの胸に顔を押し付け、そのまま沈黙してしまった。 さて、どうしたものか。 ルルーシュはふて腐れてしまったのか口を開く様子もない。 スザクはルルーシュの背中を撫でながら再びルルーシュが口を開くのを待った。 「お金なんて、稼がなくていい」 スザクの胸に顔を押し付けたまま、くぐもった声がぽつりとこぼされた。 「ルルーシュ、何言って」 「お金なんて稼がなくても俺が養ってやる」 ルルーシュは身体を起こすとスザクを真っすぐ見つめてくる。 そうして何も言えないでいるスザクにまくし立てるように喋りだした。 「俺だって一応、小説家だし、ナナリーもロロも独り立ちしたからスザク一人く らい十分養える」 「いや、ルルーシュ」 「家も広いし、部屋も余ってる」 「だから」 「家事は分担してやるし、三食昼寝付きでこんな好条件な就職先は他にはないぞ」 良い提案だとばかりに笑うルルーシュ。 スザクはルルーシュの勢いに押され、自分の腕の中で嬉しそうにはしゃぐルルー シュを見ていた。 ルルーシュにはいつも振り回されてばかりだとスザクは思う。 彼の言葉に、その行動にスザクはいつも心奪われる。惚れた弱みだと言えばそれ までかもしれないが。 スザクは感極まってルルーシュをソファに抱き倒した。 「ずるいよ、ルルーシュ。プロポーズは俺からしようと思ってたのに」 「プロポーズ!?」 どうやら自覚はなかったらしい。 素っ頓狂な声をあげるルルーシュを押し倒したまま、スザクは笑う。 13年前、5歳のスザクには学生服姿のルルーシュは自分とは違う世界に住む人、 憧れだった。 見上げるほどの背丈、どんなときも穏やかで優しくて時に自分を叱るルルーシュ。 両親と触れ合わないスザクにとってルルーシュは絶対的な存在だった。 スザクがあの時のルルーシュと同じ歳になっても、ルルーシュのような大人には 程遠い気がして、スザクは内心とても不安に思っていたけれど。 こうしてスザク自身が成長してルルーシュに向き合えば、13年前は知り得なか ったルルーシュの意外な一面。 感情に左右されるところも、弱っているときにみせる強がりもスザクだけに言う わがままも大人になった今ならわかる。 「ねぇルルーシュ。俺が働かないでずっとここにいるっていうのは無理だけど」 悲しげな表情をするルルーシュにスザクは安心させるように笑ってやる。 「でもここでルルーシュと一緒に暮らすことはできるよ」 二人一緒に、一つ屋根の下で暮らしてもっとお互いに分かりあえたら、いつかル ルーシュの不安がなくなるくらいに、在ることが当たり前の空気のような存在に なれるだろうか。 「朝目覚めたら一番におはようって言ってあげる。仕事に出てる時もルルーシュ が寂しくないように電話する。夜眠るときもルルーシュの目に最後に映るのが俺 であるようにするから」 ルルーシュはスザクの真剣な眼差しを見つめることしかできずに、スザクの言葉 に耳を傾ける。 「ルルーシュが不安になったり寂しくなったら、その度に大丈夫だって言い聞か せるから……だから、そんなに泣かないで、ルルーシュ」 スザクの手は何度も何度もルルーシュの背中を撫でたけれど、ルルーシュの涙は スザクの肩を濡らしつづけた。
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