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初恋シリーズ4

ナナリーちゃんとユフィさん。
この二人の話し方ってどんな感じでしたっけ??
ものすごく違和感があります。



「あら、じゃぁスザクとルルーシュは今だにお友達を続けているの?」

ユーフェミアの驚きの声に、ナナリーは困ったように笑うしかなかった。

従姉妹であるユーフェミアが留学先から3年ぶりに帰国したのはつい先程。
小さなスーツケースと、両手に余るほどのお土産を抱えて、実家に戻るよりも先にナナリーとルルーシュの元に顔を出してくれた。
ユーフェミアらしく驚かせようと何の連絡もしなかったので、ルルーシュは生徒会の仕事で出掛けてしまっていたけれど。
それでも3年ぶりに可愛い従姉妹とお茶を飲むことができて、ユーフェミアは満足だった。

香り豊かなバラのお茶、ほんのりと甘い蜂蜜クッキー、胡桃と栗のケーキは全て目の不自由なナナリーのためにユーフェミアが選んだお土産。
それらを二人で囲みながら、3年ぶりのお茶会には会話が尽きることはなかった。

「スザクもルルーシュもこの3年間、一体何をしていたのかしら」

ナナリーの話を聞いて、ユーフェミアは笑う。

3年前、日本を発つユーフェミアを見送りに来たスザクとルルーシュを見ながら、今度会うときはきっと、恋人同士の二人に会うことになるのだと寂しく思ったのは全く見当違いだったらしい。

小さい頃から知っている従兄弟のルルーシュ、大切な友人であるスザク。
ユーフェミアの初恋の人と、ユーフェミアが初めて愛した人。
二人の幸福を願っているのに、それをどこか悲しく思うのは二人がユーフェミアにとって従兄弟と友人以上の意味を持つからだ。

二人とも、どこか人を引き付ける不思議な魅力を持つ男の子だった。
正反対の、それこそ太陽と月のように全く異なる印象を持つ二人だけれど、スザクとルルーシュが並ふ゛と一枚の完成された絵画のような美しさが、そこにはあった。

他の多くの女の子のように、ユーフェミアはこの二人に心惹かれた。
あの二人を誰よりも近い所で見ていた。
それはユーフェミアにとって、優越感と楽しい思い出をのこしたけれど、あまりにも近くに居過ぎたせいで悲しい気持ちになったこともまた事実だった。

そうしてそれはまた、ナナリーにも当てはまることだった。
ユーフェミアはティーカップを置いて、真剣な表情でナナリーに向き合った。

「ナナリーはいいのですか?その、あの二人が恋人になっても」

この世で一番大切な兄と、いつも近くにいてくれた初恋の人。
一番身近な二人が付き合いだすのだから、寂しく感じるのだって無理はない。
ナナリーは一度だって口に出して言わなかったけれど、ユーフェミアはナナリーが自分と同じような心情でいることを感じ取っていた。

ナナリーは首を傾けティーカップのふちを指でなぞる。

「寂しくないと言えば嘘になりますけど……それでもお兄様は私のお兄様ですし、スザクさんもスザクさんですから」

年下とは思えない、大人ひ゛た表情でナナリーは笑う。
3年という月日の中でナナリーの印象も見違えたと思っていたが、本質は何も変わっていなかった。
そうだ、ナナリーはこんな子だった。
優しくて、強くて人の幸せを心から願っている。

それなのに、自分は。
あの二人を見ているのがつらくて逃げ出したのだ。
あれ以上二人の近くにいたら、何かが狂ってしまいそうで、二人を見ていたくなんかなかった。
だから、逃げた。
留学という名目に飛びついて、この3年一度だって顔を合わせなかった。

「私は、まだまだですわね」

スザクとルルーシュがお互いをどれほど大切に思い合っているかわかっているのに、自分のことしか考えられなかった。
嫉妬と自己嫌悪、悲しみに迷いながら、どこまでも自分だけが可哀想な振りをしていた。
伏し目がちに笑うユーフェミアに、ナナリーは言葉を選ぶように沈黙し、口を開いた。

「でも……もう平気になったから、気持ちの整理がついたから、だから戻って来られたのでしょう?」

ユーフェミアは思わずまじまじとナナリーを見つめてしまう。
やはり、ナナリーには気づかれていたかとユーフェミアは思う。
聡い子だから、ユーフェミアの気持ちも全部わかっていたのだ。

「えぇ、もう大丈夫」

ユーフェミアは笑う。それは彼女の心からの笑顔だった。

10年も一緒にいるのにスザクの気持ちが一つもわからない鈍感なルルーシュ。
ルルーシュの気持ちを知っていて、10年も知らない振りを続ける意地悪なスザク。
そうして、そんな二人をこっそりと見守るナナリーとユーフェミア。

「この奇妙な関係はまだまだ続きそうですわね」

「そうですね」

開け放たれた窓からは風が庭の花の香りを運んできた。
デージー、姫コスモス、リンドウ、ブルーミント。
3年前と変わらないこの家の香り。

もう大丈夫。
今度こそあの二人の幸せを本当に願える自分がいる。
部屋には秋の陽射しがいっぱいに差し込んでいた。

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