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一応、長編になるのでしょうか?
一話完結で進んでいくと思います。

初恋シリーズ1

戦争もない世界の、ごく普通の世界に生きる二人の話です。
完全、超絶パラレルです。







きみが好きだ、ルルーシュ」

 

 

そう言って深い翠の瞳が柔らかに細められる。

 

 

 

 

 

 

 

「きみが好きなんだ」

 

 スザクは何も反応を返さないルルーシュを抱きしめる。
がっしりとしたスザクの腕にすっぽりとおさまるルルーシュの身体。

 

 

 

「ずっとずっと、きみだけが好きだった」

 

切なげにルルーシュの耳元で紡がれた声はルルーシュの鼓膜を震わした。

 

 

 

こいつは今、何と言った?

 

 ルルーシュが好きだと、確かにそう言わなかっただろうか。

 

スザクの言葉を反芻して咀嚼して、ようやく頭で理解する。

 

 

 

スザクはルルーシュが好き。

 

理解した瞬間、鼻の奥がつんとした。

 

 

「ルルーシュが好きだ」

 好きだ好きだと、何度も繰り返される言葉にルルーシュは眩暈がしそうだった。

あぁ、言わなけれは゛。はやく、はやくスザクに伝えないと。

 

 

 

 

自分もずっとずっと、スザクだけが好きだった、と。

 

 

 

 はっとして目が覚めるとそこには見慣れた白い天井。
風に膨らむカーテン、ハンガーに吊るされた学生服、枕元には読みかけの文庫本。


見慣れた、朝の風景。

 

 
 

あれは夢、都合のいい妄想。

ルルーシュは自分の不甲斐なさに頭を抱えて盛大なため息を吐いた。

 

「・・・最悪だ」

 

爽やかな朝に相応しくないセリフがこほ゛れた。

 ルルーシュがスザクのいる街に引っ越してきたのは二人が7歳の時だった。
見知らぬ土地に妹であるナナリーと二人で置いていかれ、周りの全てが敵だと思い込んでいた頃。
そんなルルーシュの前にある日突然現れたのが、ガキ大将のスザクだった。

 

 

枢木家といえは゛街では名の知れた名家で、街のはずれには大きなお屋敷を構えている
有力者だった。
そして枢木の一人息子だったスザクもまた、街では有名な悪ガキだった。
スザクはルルーシュとナナリーの家にやってきては、ルルーシュに毎度いちゃもんを
つけてきた。
最初はガキ大将であるスザクの振る舞いが気に食わなくて、何度も何度もケンカをして
は殴られた。
スザクのことなんて、大嫌いだった。
がさつで直情的で、口よりも先に身体が動いてしまうような自分とは正反対の人間。
スザクだってルルーシュのことを気に食わないと思っているはずなのに、雨の日も風の
日もスザクはルルーシュの前に現れた。
 
そうこうしている間に、いつの間にかスザクはルルーシュとナナリーだけの世界にまる
で空気のようにすんなりと馴染んで、そしてルルーシュが世界で唯一頼りにできる人間
になったのだ。
きっかけだとか、原因が何だったのか、そもそもそんなものがあったのかどうかも今と
なっては思い出せないけれど。
それから10年間、二人が離れることはなかった。
幼なじみ、親友、腐れ縁。
二人の関係を表す言葉を思い浮かべる度にルルーシュは泣きたくなる。
この気持ちが報われることはないのだと思い知るからだ。
夢の中の浮かれた気分から、一気にどん底までたたき付けられた気持ちを引きずりなが
らルルーシュは家を出た。
家を出て、住宅街を抜けた所にある公園の前にスザクは立っていた。
幼い頃から、スザクはただ立っているだけで凛とした空気が周りに流れているような気
がする。
それは生まれながらのものなのか、小さい頃からしている剣道のせいなのかはわからな
いけれど、ルルーシュはその空気のお陰でどこからでもスザクを見つけることができた。
「おはよう、スザク」
ルルーシュが声をかけれは゛、10年間変わること無い笑顔が返ってくる。
「おはよう、ルルーシュ」
そうして二人並んで歩き出す。
家や学校でのたわいもない出来事を話しながら、ルルーシュはなるへ゛く歩調を緩めて
歩く。
これもまた、10年間変わることないルルーシュの習慣だった。
大きくて角張った手、低くなった声、がっしりとした身体。
子どもの頃のわんぱくも随分落ち着いて、昔のガキ大将の面影はないというのに。

ルルーシュは隣で何も知らずに笑うスザクを横目でちらりと見上げた。

 

 

 

ルルーシュの思いだけが、いつまでも変わらない。

 

 

 

「スザク」

 

 

ルルーシュの小さな声はスザクに届くことなく、ちょうど通りかかったトラックの音にかき消された。

 

 

「スザク」

 

 

お願いだから、この初恋を早く思い出にしてくれ。

 

 

心の中で願った思いはスザクに伝わることも、知られることもない。

 

 

 

 

そうしてルルーシュの初恋は10年目の秋を迎えた。

 

 

 

 

 

 

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